メインコンテンツへスキップ
高血圧・生活習慣病

リンの摂りすぎはどこから?含有量と一食分、腎臓病での減らし方

⚠

この記事は食品の栄養素に関する一般的な情報提供を目的としており、医療上のアドバイスではありません。記事中の内容は特定の症状・疾患の診断・治療・予防を保証するものではなく、効果には個人差があります。体の不調・疾患の診断・薬や栄養補助食品の使用については、必ず医師・管理栄養士などの専門家にご相談ください。

リンは骨や歯の材料になり、エネルギーの受け渡し(ATP)にも使われるミネラルです。ただし鉄やカルシウムと違い、普通に食べていて不足することはほとんどありません。食事摂取基準の目安量は成人男性1,000mg・女性800mg、耐容上限量は3,000mgで、肉・魚・卵・乳製品・豆のどれにも含まれるため、たんぱく質を摂れば自然に届きます。気にする必要があるのは逆方向で、腎臓の働きが落ちている人はリンを尿に出しきれず、食事で減らすよう指導されます。ところが含有量の多い順に食品を並べても、何を減らせばよいかは見えてきません。この記事では日本食品標準成分表(八訂)増補2023年の数値を一食分に直し、「たんぱく質1gあたりのリン」と「添加物のリン」という2つの物差しで、減らす順番を整理します。

含有量の全順位は リンが多い食品 TOP100 で確認できます。

広告

リンはなぜ不足より摂りすぎが問題になるのか

リンはたんぱく質とほぼセットで食品に入っています。鶏むね肉(皮なし)は100gあたりたんぱく質23.3gに対してリン220mg、しろさけは22.3gに対して240mg、糸引き納豆は16.5gに対して220mgです。主菜を1日2〜3皿食べれば、それだけで目安量の半分を超えます。

健康な人では、余ったリンは腎臓から尿に出ていくため、耐容上限量3,000mgに食事だけで届くことはまずありません。問題になるのは慢性腎臓病(CKD)で腎機能が下がった場合です。リンが血液に溜まると、骨からカルシウムが溶け出したり血管が硬くなったりするため、病期に応じてリンの制限が指示されます。

もう一つの論点がカルシウムとの釣り合いです。リンが多くカルシウムが少ない食事が続くと、骨の代謝に不利に働くとされます。牛乳はカルシウム110mgに対しリン93mg、プロセスチーズは630mgに対し730mgとほぼ1対1ですが、豚もも肉はカルシウム4mgに対しリン210mg、ロースハムは4mgに対し280mgと、肉と加工肉は大きくリン側に傾いています。

広告

一食分に直すとどの食品からどれだけ摂っているか

100gあたりの含有量で最も高いのは、かたくちいわしの煮干し1,500mg、さくらえび(素干し)1,200mg、するめ1,100mg、脱脂粉乳1,000mgといった乾物です。ただしこれらは一度に10g前後しか食べません。煮干し10gなら150mg、さくらえび大さじ1(約3g)なら36mgです。

実際の摂取量を押し上げているのは、量を食べる日常の食品です。普通牛乳コップ1杯(200g)で186mg、プロセスチーズ1枚(18g)で131mg、卵1個(50g)で85mg、納豆1パック(45g)で99mg、鶏むね肉100gで220mg、さけ1切れ(80g)で192mg。この6品を1日で食べると合計913mgになり、ごはんや野菜を足す前に成人女性の目安量800mgを超えます。

肉類の中ではレバーが高く、豚レバー340mg・牛レバー330mg・鶏レバー300mgです。1人前50gで150〜170mg。きのこ類は「リンが多い」と言われることがありますが、ぶなしめじ96mg・えのきたけ110mg・まいたけ54mgで、1/2パック(50g)なら27〜55mgにとどまります。乾しいたけは乾燥状態で290mgと高く見えますが、ゆでると38mgです。

一食分あたりのリンの量(日本食品標準成分表八訂増補2023年の100gあたり含有量から換算)

「たんぱく質1gあたりのリン」で見ると減らす順番が変わる

腎臓病の食事でリンだけを見て肉や魚を減らすと、たんぱく質まで不足して筋肉が落ちます。そこで使われるのが、リン(mg)をたんぱく質(g)で割った「リン/たんぱく質比」です。透析を受けている人の目安として、1日のリンを「たんぱく質(g)×15mg以下」に収める考え方が広く使われています。

成分表の数値で計算すると、卵白1.1、鶏むね肉(皮なし)9.4、豚もも肉(皮下脂肪なし)9.8、しろさけ10.8、木綿豆腐12.6、納豆13.3、全卵13.9までが15を下回ります。一方、ロースハム15.1、しらす干し(微乾燥品)19.6、ヨーグルト27.8、牛乳28.2、プロセスチーズ32.2、卵黄32.7は上回ります。

つまり同じたんぱく質を摂るなら、乳製品・卵黄・小魚の丸干しを控え、生の肉・魚の切り身・卵白・大豆製品に寄せるのが効率のよい減らし方です。100gあたりの含有量では鶏むね肉220mgが牛乳93mgの2倍以上ですが、この比で見ると評価が逆転します。なお実際の制限量は腎機能や治療内容で変わるため、数字は主治医と管理栄養士の指示に合わせてください。

添加物のリンと、ゆでて減らす調理

食品のリンには、肉・魚・豆にもともと含まれる有機リンと、食品添加物として加えられる無機リン(リン酸塩)があります。吸収率は植物性食品で20〜40%、動物性食品で40〜60%とされるのに対し、無機リンは90%以上と高く、同じ含有量でも体に入る量が違います。

リン酸塩はハム・ソーセージの結着剤、プロセスチーズの乳化剤、中華めんのかんすい、膨張剤などに使われます。成分表でベーキングパウダーが100gあたり3,700mgと全食品の最上位にあるのは、膨張剤としてリン酸塩を含むためです。栄養成分表示にリンの量を書く義務は無いので、原材料表示の「リン酸塩(Na)」「pH調整剤」「乳化剤」「かんすい」「膨張剤」を手がかりに、加工食品の頻度を下げるのが現実的な対策になります。

調理で減らすなら「ゆでこぼす」が有効です。100gあたりで比べると、ばらベーコンは210mgがゆでると120mgに、ロースハムは280mgが250mgに、まいたけは54mgが36mgに下がります。ゆでベーコンはたんぱく質が15.4gから21.6gに増えるため、リン/たんぱく質比は13.6から5.6まで下がります。ゆで汁にリンが移るので、汁は使わずに捨ててください。

まとめ

リンは不足よりも、腎機能が下がったときの摂りすぎが問題になる栄養素です。牛乳コップ1杯186mg・チーズ1枚131mgのように一食分で把握し、たんぱく質1gあたり15mgを境に食品を選び分け、加工食品の添加物を減らす。この3点で、たんぱく質を保ったままリンを下げられます。

amazonアソシエイト

「リンの摂りすぎはどこから?含有量と一食分、腎臓病での減らし方」に関連する商品をチェック

※ Amazonアソシエイト参加中。当リンク経由の購入でサイト運営を支援できます。

よくある質問(FAQ)

Q. リンは1日にどれくらい摂ればよく、上限はいくつですか?
食事摂取基準の目安量は成人男性1,000mg・成人女性800mg、耐容上限量は成人で3,000mgです。牛乳コップ1杯(200g)186mg、卵1個85mg、納豆1パック99mg、鶏むね肉100g 220mg、さけ1切れ192mgと、主菜と乳製品だけで目安量に届くため、通常の食事で不足することはほとんどありません。
Q. 腎臓病でリンを控えるとき、肉は食べないほうがよいですか?
肉を一律に避ける必要はありません。たんぱく質1gあたりのリンで見ると、鶏むね肉(皮なし)9.4mg・豚もも肉9.8mgと生の肉は低く、牛乳28.2mg・プロセスチーズ32.2mg・卵黄32.7mgのほうが高くなります。肉類で控えたいのはレバー(100gあたり300〜340mg)と、リン酸塩が使われることの多いハム・ソーセージです。制限量は主治医の指示に従ってください。
Q. きのこはリンが多いと聞きましたが、控えるべきですか?
生のきのこは100gあたり、えのきたけ110mg・ぶなしめじ96mg・生しいたけ87mg・まいたけ54mgで、1/2パック(50g)なら27〜55mgです。牛乳コップ1杯186mgと比べても少なく、通常の量なら負担は小さい食品です。乾しいたけは乾燥状態で290mgですが、ゆでると38mgまで下がります。乾燥まいたけ(700mg)など乾物を粉末で多く使う場合だけ注意してください。

関連する栄養素ランキング

※ 栄養素データは文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)増補2023年」に基づきます。医療・栄養指導など専門的な用途には、必ず管理栄養士・医師にご確認ください。

関連記事

← コラム一覧へ