日本食品標準成分表(八訂)増補2023年
この記事は食品の栄養素に関する一般的な情報提供を目的としており、医療上のアドバイスではありません。疾患の診断・治療・薬の調整などは必ず医師・管理栄養士にご相談ください。
日本の高血圧患者数は推計4,300万人と、成人の約3人に1人が高血圧とされています。高血圧は自覚症状がないまま心臓病・脳卒中のリスクを高める「サイレントキラー」です。食事療法の中心は「減塩」ですが、同時に「カリウムの積極的摂取」「適正体重の維持」「アルコール制限」を組み合わせることで、より効果的に血圧をコントロールできます。
食塩(塩化ナトリウム)を摂ると血中のナトリウム濃度が上昇します。体はこの濃度を一定に保つために水分を引き込み、血液の量(血漿量)が増えます。血液量が増えると心臓が押し出す血液量も増え、血管壁にかかる圧力(血圧)が上昇します。
WHO(世界保健機関)は1日の食塩摂取量を5g未満に抑えることを推奨していますが、日本人の平均摂取量は男性約10.9g、女性約9.3g(令和元年国民健康・栄養調査)と2倍近い水準です。日本高血圧学会のガイドラインでは高血圧患者に1日6g未満を推奨しています。
ただし「塩分感受性」には個人差があります。同じ塩分摂取量でも血圧が上がりやすい人(食塩感受性高血圧)とそうでない人がいます。特に高齢者・肥満者・腎機能低下者は食塩感受性が高い傾向があります。
カリウムはナトリウムの腎臓からの排泄を促進し、血圧を下げる働きがあります。カリウムが豊富な食事(DASH食)は高血圧の予防・改善に効果があることが多くの研究で示されています。
日本人の食事摂取基準2020年版では成人男性1日3,000mg、女性2,600mgの目標量が設定されていますが、WHO推奨は3,510mg以上とさらに高い水準です。野菜・果物・豆・いも類を積極的に摂ることでカリウム摂取量を増やせます。
ただし腎臓機能が低下している方は、カリウムを排泄する能力も低下しているため「高カリウム血症」のリスクがあります。腎臓病の方はカリウム制限が必要になることがあり、食事制限は必ず医師・管理栄養士に相談してください。
減塩を意識しながらカリウムを豊富に摂れる食品をご紹介します。
カリウムが多く食塩相当量が低い代表的な食品
減塩は「薄味に慣れる」という習慣の問題です。急に大幅に減塩しようとすると食事の満足度が下がり継続が難しくなるため、少しずつ減らしていくことが成功の鍵です。
具体的なテクニックとして、①酸味(レモン・酢・柑橘)・旨味(だし・きのこ・トマト)・香り(ハーブ・香辛料)を活用して少ない塩分でも満足感を出す、②醤油・ソースは「かけず」に「つける」、③加工食品・外食の頻度を減らし自炊の割合を増やす、④食卓での「追い塩」をしない、などが挙げられます。
1週間かけて少しずつ塩分を減らすと、2〜4週間で薄味に慣れてくることが多いです。栄養成分表示の「食塩相当量」を確認する習慣をつけると、日常で知らずに摂っている塩分量に気づけます。
高血圧対策の食事は「制限」だけではなく「積極的に取り入れる食品(野菜・果物・豆・全粒穀物・青魚)」を増やすことでもアプローチできます。成分表でナトリウム・食塩相当量・カリウムを確認しながら、無理なく続けられる食事習慣を作りましょう。
※ 栄養素データは文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)増補2023年」に基づきます。医療・栄養指導など専門的な用途には、必ず管理栄養士・医師にご確認ください。
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