日本食品標準成分表(八訂)増補2023年
主要な栄養素の働き・1日の摂取目安・多く含まれる食品をまとめました。 日本人の食事摂取基準(2020年版)をもとにしています。
エネルギーは体を動かすための燃料です。食品中の三大栄養素(たんぱく質・脂質・炭水化物)が体内で酸化されることでエネルギーが生まれます。成人の1日の推定エネルギー必要量は、身体活動レベルにより異なりますが、おおむね1,600〜2,700kcal程度です。
1日の摂取目安:1,600〜2,700 kcal/日(成人、活動量による)
たんぱく質・炭水化物は1gあたり4kcal、脂質は1gあたり9kcalのエネルギーを生みます。
たんぱく質は筋肉・臓器・皮膚・酵素・ホルモンなど、体のあらゆる組織の材料となる栄養素です。20種類のアミノ酸から構成され、そのうち9種類は体内で合成できない「必須アミノ酸」として食事から摂取する必要があります。
1日の摂取目安:男性65g・女性50g/日(推奨量、18〜64歳)
肉・魚・卵・大豆製品・乳製品などに多く含まれます。
脂質は細胞膜やホルモンの材料になるほか、脂溶性ビタミン(A・D・E・K)の吸収を助けます。過剰摂取は肥満や生活習慣病のリスクを高めますが、適切な量は健康維持に欠かせません。不飽和脂肪酸(魚・植物油に多い)と飽和脂肪酸(肉・乳製品に多い)のバランスが重要です。
1日の摂取目安:総エネルギーの20〜30%(目標量)
オメガ3系脂肪酸(EPA・DHA)は青魚に多く、循環器系の健康に役立ちます。
炭水化物は脳や筋肉の主要なエネルギー源です。糖質(消化吸収されエネルギーになる)と食物繊維(消化されない)に分かれます。過剰摂取は血糖値上昇や肥満につながるため、精製糖よりも複合炭水化物(全粒穀物・豆類)からの摂取が推奨されています。
1日の摂取目安:総エネルギーの50〜65%(目標量)
GI値(血糖指数)の低い食品を選ぶと血糖値の急上昇を抑えられます。
食物繊維は消化されずに大腸まで届き、腸内細菌のエサとなります。腸の蠕動運動を促して便通を整えるほか、血糖値・コレステロール値の上昇を抑える働きがあります。現代の日本人は不足しがちな栄養素のひとつです。
1日の摂取目安:男性21g以上・女性18g以上/日(目標量、18〜64歳)
野菜・豆類・きのこ・海藻・全粒穀物に多く含まれます。
ナトリウムは体液の浸透圧調整や神経・筋肉の働きを助けます。日本人は食塩(塩化ナトリウム)として摂りすぎる傾向があり、高血圧や心臓病・脳卒中のリスク上昇と関連しています。食塩相当量はナトリウム量(mg)×2.54÷1000で算出されます。
1日の摂取目安:男性7.5g未満・女性6.5g未満/日(目標量、食塩相当量)
加工食品・漬物・外食に多く含まれます。薄味を心がけることが重要です。
カルシウムは骨や歯の材料となるミネラルです。成人の体内には約1kgのカルシウムがあり、その99%が骨と歯に存在しています。不足すると骨密度が低下し、骨粗しょう症のリスクが高まります。また、筋肉の収縮や神経伝達にも関与しています。
1日の摂取目安:男性750mg・女性650mg/日(推奨量、18〜29歳)
乳製品・小魚・豆腐・緑黄色野菜に多く含まれます。ビタミンDと一緒に摂ると吸収率が上がります。
鉄は赤血球中のヘモグロビンの成分として、全身へ酸素を運ぶ役割を担います。不足すると鉄欠乏性貧血を引き起こし、倦怠感・息切れ・集中力の低下などをまねきます。特に月経のある女性は不足しやすい栄養素です。
1日の摂取目安:男性7.5mg・女性10.5mg/日(推奨量、18〜29歳)
レバー・赤身肉・ほうれん草に多く含まれます。ビタミンCと一緒に摂ると非ヘム鉄の吸収率が向上します。
ビタミンCはコラーゲンの合成に不可欠で、皮膚・血管・骨の健康を保ちます。強力な抗酸化作用があり、免疫機能の維持にも役立ちます。水溶性ビタミンのため体内に蓄積されず、毎日の食事からの摂取が必要です。加熱で失われやすい性質があります。
1日の摂取目安:100mg/日(推奨量、成人)
ピーマン・ブロッコリー・柑橘類・キウイに多く含まれます。
カリウムはナトリウムと拮抗して細胞の浸透圧を調節し、血圧を下げる働きがあります。筋肉の収縮・神経信号の伝達にも不可欠で、不足すると脱力感・筋肉のけいれん・不整脈が起こることがあります。腎臓病の方は過剰摂取に注意が必要です。
1日の摂取目安:男性3,000mg・女性2,600mg/日(目標量、18〜64歳)
バナナ・ほうれん草・アボカド・豆類・いも類に多く含まれます。水に溶けやすいため、蒸す・電子レンジ調理でロスを減らせます。
亜鉛は200以上の酵素の構成成分で、免疫機能・創傷治癒・DNA合成・たんぱく質合成に関与します。味覚・嗅覚の維持にも不可欠で、不足すると味覚障害・皮膚炎・免疫機能低下が起こります。
1日の摂取目安:男性11mg・女性8mg/日(推奨量、18〜64歳)
牡蠣・牛赤身肉・豚レバー・カシューナッツに多く含まれます。動物性食品からの吸収率が高く、植物性食品のフィチン酸は吸収を妨げます。
マグネシウムはエネルギー産生・たんぱく質合成・筋肉の収縮・神経伝達・血糖値調節など、300以上の酵素反応に関与します。不足すると筋肉のけいれん・頭痛・不眠・疲労感が起こりやすくなります。日本人に不足しがちな栄養素です。
1日の摂取目安:男性340〜370mg・女性270〜290mg/日(推奨量、18〜64歳)
アーモンド・大豆・玄米・ほうれん草・海藻に多く含まれます。精製・加工で失われやすいため、未精製食品の選択が効果的です。
ビタミンDはカルシウムの腸からの吸収を促進し、骨の形成・維持に不可欠です。免疫機能の調節にも関与し、不足すると骨軟化症・くる病・免疫機能低下が起こります。日光を浴びることで皮膚でも合成されます。
1日の摂取目安:8.5μg/日(目安量、成人)
サケ・マグロ・カツオ・イワシなどの魚類、きのこ類(干ししいたけ・まいたけ)に多く含まれます。脂溶性のため油と一緒に摂ると吸収率が向上します。
ビタミンAは視力・皮膚・粘膜の正常な維持に不可欠で、暗所での視力(ロドプシン合成)や免疫機能の調節に関与します。動物性食品のレチノールと、緑黄色野菜のβ-カロテン(体内でビタミンAに変換)の2種類の供給源があります。
1日の摂取目安:男性850μg RAE・女性650μg RAE/日(推奨量、成人)。耐容上限量:2,700μg RAE
レバー・うなぎ・卵(レチノール源)、にんじん・ほうれん草・かぼちゃ(β-カロテン源)に多く含まれます。脂溶性のため過剰摂取(特にサプリ)に注意が必要です。
ビタミンB1(チアミン)は糖質をエネルギーに変換する際に不可欠な補酵素です。神経・筋肉の正常な働きを維持し、不足するとエネルギー代謝が低下して倦怠感・食欲不振・脚気が起こります。アルコールの大量摂取で消耗が増します。
1日の摂取目安:男性1.4mg・女性1.1mg/日(推奨量、18〜64歳)
豚肉・うなぎ・玄米・大豆・ナッツ類に多く含まれます。水溶性で加熱・茹でで溶け出しやすく、アルコール摂取が多い人は不足しやすいです。
ビタミンB2(リボフラビン)は三大栄養素のエネルギー代謝を助ける補酵素(FAD・FMN)の成分です。皮膚・粘膜・目の健康維持に関与し、不足すると口内炎・口角炎・舌炎・皮膚炎が起こります。
1日の摂取目安:男性1.6mg・女性1.2mg/日(推奨量、18〜64歳)
レバー・うなぎ・卵・乳製品・納豆に多く含まれます。光で分解されやすいため、食品は遮光保存が望ましいです。
ビタミンB6(ピリドキシン)はたんぱく質・アミノ酸の代謝に関わる補酵素です。神経伝達物質(セロトニン・ドーパミン)の合成にも必要で、不足すると皮膚炎・貧血・神経障害が起こります。たんぱく質摂取量が多い人ほど必要量が増えます。
1日の摂取目安:男性1.4mg・女性1.1mg/日(推奨量、18〜64歳)
マグロ・カツオ・鶏むね肉・バナナ・にんにくに多く含まれます。水溶性で熱に比較的安定していますが、光・酸化で失われます。
ビタミンB12(コバラミン)は赤血球の形成・神経機能の維持・DNAの合成に不可欠です。不足すると巨赤芽球性貧血や神経障害(手足のしびれ・記憶障害)が起こります。動物性食品にのみ含まれるため、ベジタリアン・ヴィーガンは特に補給が必要です。
1日の摂取目安:2.4μg/日(推奨量、成人)
あさり・シジミ・牛レバー・イワシ・サバなどの動物性食品に多く含まれます。植物性食品にはほとんど含まれません。
葉酸はDNA合成・細胞分裂・赤血球形成に関与するビタミンB群の一種です。特に妊娠初期は胎児の神経管閉鎖障害を予防するために非常に重要で、妊娠を計画している女性は積極的な摂取が推奨されています。
1日の摂取目安:240μg/日(推奨量、成人)。妊婦は480μg/日
ほうれん草・枝豆・レバー・アスパラガス・納豆に多く含まれます。熱・光・酸化で失われやすいため、生食や短時間調理が効果的です。
ビタミンKは血液凝固(止血)と骨の形成に不可欠なビタミンです。骨のたんぱく質(オステオカルシン)を活性化して骨密度の維持に関与し、不足すると出血が止まりにくくなったり骨粗しょう症リスクが高まります。
1日の摂取目安:150μg/日(目安量、成人)
納豆・ほうれん草・ブロッコリー・小松菜などの緑色野菜に多く含まれます。脂溶性のため油と一緒に摂ると吸収率が向上します。ワルファリン服用中の方は摂取量に注意が必要です。
参考:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
※ 摂取基準は年齢・性別・活動量により異なります。詳細は医師・栄養士にご相談ください。