日本食品標準成分表(八訂)増補2023年
この記事は食品の栄養素に関する一般的な情報提供を目的としており、医療上のアドバイスではありません。記事中の内容は特定の症状・疾患の診断・治療・予防を保証するものではなく、効果には個人差があります。体の不調・疾患の診断・薬や栄養補助食品の使用については、必ず医師・管理栄養士などの専門家にご相談ください。
脂質は「太る」「体に悪い」というイメージを持たれがちですが、実際にはホルモン・細胞膜の材料・脂溶性ビタミンの吸収補助など生命に不可欠な栄養素です。問題は脂質の「量」よりも「種類」にあります。飽和脂肪酸・不飽和脂肪酸・トランス脂肪酸という種類によって心血管疾患リスクへの影響が全く異なります。日本人の食事摂取基準では脂質のエネルギー比率として20〜30%が目標とされており、量を抑えながら質の良い脂質を選ぶことが健康的な食事の基本です。
「飽和脂肪酸」は主に肉の脂・バター・ラード・ヤシ油などに多く含まれる脂肪酸です。摂りすぎると血中のLDL(悪玉)コレステロールを上昇させ、動脈硬化・冠動脈心疾患のリスクを高めます。日本人の食事摂取基準では飽和脂肪酸をエネルギー比7%以下に抑えることが目標とされています。
「不飽和脂肪酸」には一価不飽和脂肪酸(オレイン酸:オリーブオイル・アボカドに多い)と多価不飽和脂肪酸(オメガ3・オメガ6)があります。オレイン酸はLDLコレステロールを下げながらHDLコレステロールを維持する効果が期待できるとされており、地中海食の健康効果との関連が研究されています。
「トランス脂肪酸」は植物油を水素添加した際に生成される脂肪酸で、マーガリン・ショートニング・市販の菓子・フライ製品に含まれることがあります。LDLを上昇させHDLを低下させる二重の悪影響があり、WHO は2023年までに食品からの排除を目標とするほど有害性が高く評価されています。
心臓の健康を守るために積極的に取り入れたい良質な脂質を含む食品をご紹介します。
コレステロールはホルモン・細胞膜・胆汁酸の材料として必須の脂質です。食事からのコレステロール摂取が直接血中コレステロールを上げるという考えは現在では修正されており、日本人の食事摂取基準2020年版では食事コレステロールの上限値が撤廃されました。血中コレステロール値に影響するのは主に飽和脂肪酸・トランス脂肪酸の摂取量です。
ただし脂質異常症(高LDLコレステロール)の方はコレステロールを多く含む食品(卵・レバー・いくら・すじこ)の食べ過ぎにも注意が必要です。個人差があるため、脂質代謝に問題がある方は医師・管理栄養士に相談して食事内容を調整してください。
食事の脂質改善で最も効果的なのは、加工食品・ファストフードに含まれるトランス脂肪酸と飽和脂肪酸を減らし、青魚・オリーブオイル・ナッツ類などの不飽和脂肪酸に置き換えることです。「バターの代わりにオリーブオイル」「揚げ物より焼き・蒸し」「スナックの代わりにナッツ」という置き換えが心臓病リスクの低下につながります。
脂質は質の良いものを適切な量摂ることが重要です。青魚・ナッツ・アボカド・オリーブオイルを取り入れ、加工食品・揚げ物・バターの多用を控えることで、心臓と血管の健康を守る食事に近づきます。
※ 栄養素データは文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)増補2023年」に基づきます。医療・栄養指導など専門的な用途には、必ず管理栄養士・医師にご確認ください。
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