魚1切れでカルシウム・ビタミンDはどれだけ?骨のために選ぶ魚
この記事は食品の栄養素に関する一般的な情報提供を目的としており、医療上のアドバイスではありません。記事中の内容は特定の症状・疾患の診断・治療・予防を保証するものではなく、効果には個人差があります。体の不調・疾患の診断・薬や栄養補助食品の使用については、必ず医師・管理栄養士などの専門家にご相談ください。
骨づくりには、材料になるカルシウムと、その吸収を助けるビタミンDの両方が要ります。魚はどちらも摂れる食材と言われますが、日本食品標準成分表(八訂)増補2023年で切り身1切れ分に直すと、両方を同時に満たす魚はほとんどありません。しろさけ(生)1切れ80gのビタミンDは約25.6µgで、成人の1日の目安量8.5µg(日本人の食事摂取基準2020年版)の約3倍ある一方、カルシウムは約11mgで、推奨量(30〜49歳女性650mg)の2%ほどです。カルシウムが多いのは、さば水煮缶(身100gで260mg)やまいわしの丸干し(可食部100gで440mg)のように骨ごと食べる魚です。この記事では、成長期の子どもや骨が弱りやすい高齢者の食事を考える人向けに、魚1切れ・1尾・大さじ1あたりのカルシウム・ビタミンD・マグネシウムを比べ、骨のための魚の選び方を整理します。
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切り身1切れで摂れるビタミンDはどれくらい?
切り身1切れを80gとして計算すると、ビタミンDはしろさけ(生)約25.6µg、しろさけ(焼き)約31.2µg、さわら(焼き)約9.6µg、ぶり(成魚・生)約6.4µg、まさば(生)約4.1µg、まだら(焼き)約0.6µgです。成人の1日の目安量8.5µgに対して、鮭は1切れで約3倍、さわらは1切れでほぼ1日分、ぶり・さばは5〜7割ほどになります。たらは白身魚の中でもビタミンDが少なく、1切れでは1割に届きません。
焼き魚の数値は焼いた後の重さあたりです。水分が抜けて重さが減る分、100gあたりの値は生より高く出ます(しろさけは生32µg、焼き39µg)。焼いた切り身を量るなら焼きの値、生の切り身を量るなら生の値を使ってください。
一方で、切り身のカルシウムはどの魚も少なめです。80gあたりで、しろさけ(焼き)約15mg、まさば(焼き)約8mg、さわら(焼き)約18mg、ぶり(成魚・焼き)約5mg、まだら(焼き)約38mgです。骨を除いた身だけを食べる切り身は、「ビタミンDを摂る魚」と考えるのが実態に合っています。
切り身100gあたりのビタミンDとカルシウム(日本食品標準成分表八訂より。かっこ内は1切れ80gの換算)
- ✓しろさけ 生(切り身)— ビタミンD 32µg・カルシウム14mg(1切れ約25.6µg・約11mg)
- ✓さわら 焼き(切り身)— ビタミンD 12µg・カルシウム22mg(1切れ約9.6µg・約18mg)
- ✓まさば 焼き(切り身)— ビタミンD 4.9µg・カルシウム10mg(1切れ約3.9µg・約8mg)
- ✓まだら 焼き(切り身)— ビタミンD 0.7µg・カルシウム48mg(1切れ約0.6µg・約38mg)
- ✓魚介類のビタミンDランキング— 干物・缶詰・魚卵を含む魚介類全体での順位を確認する
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カルシウムは骨ごと食べる魚で摂る
カルシウムの差を生んでいるのは魚の種類より「骨を食べるかどうか」です。同じしろさけでも、切り身(生)は100gあたり14mgなのに対し、骨ごと食べる水煮缶詰(液汁を除いたもの)は190mgと13倍以上あります。さばも切り身(生)6mgに対して水煮缶詰(液汁を除いたもの)は260mg、まいわしは生74mgに対して水煮缶詰(液汁を除いたもの)は320mgです。
缶詰はビタミンDも残っており、さば水煮缶は身100gあたりビタミンD 11µg、さけ水煮缶は8.0µg、いわし水煮缶は6.0µgです。さば水煮缶の身100gを食べると、カルシウム260mg(30〜49歳女性の推奨量650mgの約4割)とビタミンD 11µg(目安量8.5µgの約1.3倍)を同時に摂れます。数値は缶の汁を除いた身の値で、汁ごとの値ではありません。なお、さばのみそ煮缶(100gあたりカルシウム210mg)は液汁を含んだ値です。
干物では、まいわしの丸干しが可食部100gあたりカルシウム440mg・ビタミンD 50µgと、どちらも魚の中で高い値です。丸干しの廃棄部位は頭部・ひれ等(廃棄率15%)で、骨は食べる部分に含まれています。ただし食塩相当量も100gあたり3.8gあるので、1回に食べる量は1〜2尾にとどめるのが無難です。
骨ごと食べる魚の100gあたりのカルシウムとビタミンD(日本食品標準成分表八訂より)
- ✓まいわし 丸干し— カルシウム440mg・ビタミンD 50µg(頭部・ひれ等を除いた可食部)
- ✓さば 缶詰 水煮— カルシウム260mg・ビタミンD 11µg(液汁を除いたもの)
- ✓いわし 缶詰 水煮— カルシウム320mg・ビタミンD 6.0µg(液汁を除いたもの)
- ✓しろさけ 水煮缶詰— カルシウム190mg・ビタミンD 8.0µg(液汁を除いたもの)
- ✓魚介類のカルシウムランキング— 骨ごと食べる小魚・干物を含む魚介類での順位を確認する
しらす大さじ1・ししゃも1尾・さんま1尾ではどれくらい?
しらす干し(微乾燥品)は100gあたりカルシウム280mg・ビタミンD 12µgですが、大さじ1(約5g)に直すとカルシウム約14mg・ビタミンD約0.6µgです。関西向けの半乾燥品は100gあたりカルシウム520mg・ビタミンD 61µgと乾燥が進んだ分だけ濃く、大さじ1で約26mg・約3.1µgになります。どちらも食塩相当量が多く(微乾燥品4.2g、半乾燥品6.6g)、ごはんやおかずに「足す」量で使うのが向いています。
ししゃも(生干し・焼き)は100gあたりカルシウム360mgと高い一方、ビタミンDは0.6µgしかありません。数値は頭部と尾を除いた部分の値で、1尾の可食部を15gとするとカルシウム約54mg・ビタミンD約0.09µgです。輸入品が多いからふとししゃも(生干し・焼き、魚体全体)も100gあたりカルシウム380mg・ビタミンD 0.5µgで、ししゃもは「カルシウムの魚」です。
さんま(皮つき・焼き)は魚体全体を焼いたものから頭部・内臓・骨・ひれ等(廃棄率35%)を除いた身の値で、100gあたりカルシウム37mg・ビタミンD 13µgです。身だけを食べるならビタミンD寄りの魚になります。マグネシウムは切り身(鮭・さば・さわら・ぶり・たら)で100gあたり24〜36mgで、1切れ80gなら約19〜29mgと、30〜49歳の推奨量(男性370mg・女性290mg)の1割に届かない程度です。
小魚・1尾魚の100gあたりの値(日本食品標準成分表八訂より。かっこ内は一食分の換算)
- ✓しらす干し 微乾燥品— カルシウム280mg・ビタミンD 12µg(大さじ1・5gで約14mg・約0.6µg)
- ✓ししゃも 生干し 焼き— カルシウム360mg・ビタミンD 0.6µg(頭部・尾を除く。可食部15gで約54mg)
- ✓さんま 皮つき 焼き— カルシウム37mg・ビタミンD 13µg(頭部・内臓・骨等を除いた身)
- ✓魚介類のマグネシウムランキング— 貝類・干物を含む魚介類での順位を確認する
成長期・高齢期の骨のために魚をどう組み合わせる?
ビタミンDは鮭・さわら・さんまなどの切り身や身、カルシウムは缶詰・丸干し・ししゃもなどの骨ごと食べる魚、と役割を分けて組み合わせるのが現実的です。例えば夕食に鮭1切れ(ビタミンD約25.6µg)、別の日の昼にさば水煮缶の身100g(カルシウム260mg・ビタミンD 11µg)を使うと、魚だけでもビタミンDの目安量は十分に届きます。
カルシウムは魚だけで推奨量を満たすのは難しいため、牛乳・乳製品や豆腐、青菜と組み合わせて考えてください。カルシウムの必要量は中学生の頃に生涯で最も多くなり、高齢期は骨量が減りやすい時期です。どちらの年代も、骨ごと食べられる缶詰や小魚を週に何回か取り入れると、切り身だけの献立より摂れる量が大きく変わります。
やわらかさで選ぶなら、水煮缶詰は骨までやわらかく、噛む力が弱い高齢者や小さな子どもにも使いやすい食材です。一方でしらす干し・丸干し・みそ煮缶は食塩相当量が多めなので、減塩が必要な人は水煮缶や生・焼きの切り身を中心にしてください。
まとめ
鮭1切れ(80g)はビタミンD約25.6µgと1日の目安量の約3倍ある一方、カルシウムは約11mgです。カルシウムはさば水煮缶(身100gで260mg)や丸干し・ししゃものように骨ごと食べる魚で摂れます。切り身でビタミンD、骨ごと食べる魚でカルシウムと、役割を分けて組み合わせてください。
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よくある質問(FAQ)
- Q. 鮭1切れでビタミンDは1日分摂れますか?
- しろさけ(生)は100gあたりビタミンD 32µgで、1切れ80gなら約25.6µgです。成人の1日の目安量8.5µg(日本人の食事摂取基準2020年版)の約3倍にあたり、1切れで1日分を上回ります。焼き鮭は焼いた後の重さ100gあたり39µgです。塩ざけは100gあたり23µgで、こちらも1切れ80gで約18.4µgと目安量を超えます(日本食品標準成分表八訂より)。
- Q. さば缶とさばの切り身ではカルシウムはどれくらい違いますか?
- まさばの切り身(生)は100gあたりカルシウム6mg、焼きでも10mgですが、骨ごと食べるさば水煮缶詰(液汁を除いたもの)は260mgと、生の切り身の40倍以上あります。違いは骨を食べるかどうかです。ビタミンDも水煮缶は100gあたり11µgあり、身100gでカルシウムとビタミンDを同時に摂れます。数値は缶の汁を除いた身の値です。
- Q. しらすやししゃもはビタミンDも多いですか?
- しらす干し(微乾燥品)は100gあたりビタミンD 12µgありますが、大さじ1(約5g)では約0.6µgです。ししゃも(生干し・焼き)は100gあたりカルシウム360mgと多い一方、ビタミンDは0.6µgと少なく、1尾(可食部15g)では約0.09µgしかありません。ビタミンDを摂るなら鮭・さわら・さんま・いわしなどを組み合わせてください。
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※ 栄養素データは文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)増補2023年」に基づきます。医療・栄養指導など専門的な用途には、必ず管理栄養士・医師にご確認ください。