日本食品標準成分表(八訂)増補2023年
この記事は食品の栄養素に関する一般的な情報提供を目的としており、医療上のアドバイスではありません。疾患の診断・治療・薬の調整などは必ず医師・管理栄養士にご相談ください。
日本人の食物繊維摂取量は年々減少しており、現在の平均摂取量は1日15g前後と、目標量(男性21g以上、女性18g以上)を大きく下回っています。食物繊維は「消化されない炭水化物」として長らく「栄養のないもの」と考えられてきましたが、腸内細菌の餌になること・血糖値の急上昇を抑えること・LDLコレステロールを下げることなど、多くの健康効果が明らかになっています。この記事では食物繊維の種類と働き、効率よく摂取できる食品を紹介します。
食物繊維には「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」の2種類があります。水溶性食物繊維(ペクチン・β-グルカン・イヌリンなど)は水に溶けてゲル状になり、糖や脂質の吸収を緩やかにする・善玉菌のエサになる・コレステロールを吸着して排出する働きがあります。大麦・オーツ麦・りんご・海藻・ごぼうに多く含まれます。
不溶性食物繊維(セルロース・ヘミセルロース・リグニンなど)は水に溶けず腸内で水分を吸って膨らみ、便のかさを増して排便を促します。全粒穀物・豆類・野菜・きのこに多く含まれます。便秘解消には特に不溶性が有効ですが、水分不足の状態で摂ると便が硬くなる場合もあるため、水分をしっかり摂ることが大切です。
理想的なのは水溶性と不溶性の両方をバランスよく摂ること。目安は水溶性:不溶性=1:2〜1:3程度です。同じ食品に両方が含まれているケースも多く、玄米・麦・豆類・根菜類はバランスのよい食物繊維源です。
食物繊維を効率よく補える食品を日本食品標準成分表(八訂)のデータからご紹介します。
可食部100gあたりの食物繊維含有量が多い代表的な食品
大腸には約1,000種・100兆個以上の腸内細菌が生息し、免疫機能・代謝・精神状態にまで影響を与えることが明らかになっています。食物繊維、特に水溶性食物繊維は善玉菌(ビフィズス菌・乳酸菌)のエサとなるプレバイオティクスとして働きます。
腸内細菌が食物繊維を発酵・分解することで「短鎖脂肪酸(酪酸・プロピオン酸・酢酸)」が生産されます。短鎖脂肪酸は腸壁のエネルギー源になり、腸のバリア機能を高め、腸内を弱酸性に保って悪玉菌の繁殖を抑制します。
食物繊維が少ない食事を続けると腸内細菌の多様性が失われ、免疫機能低下・炎症性疾患・糖尿病・肥満との関連が研究されています。ヨーグルト(プロバイオティクス)と食物繊維(プレバイオティクス)を組み合わせた「シンバイオティクス」アプローチが腸内環境改善に有効とされています。
食物繊維は野菜・きのこ・豆類・海藻・全粒穀物など多様な食品に含まれています。毎食野菜をひと品以上加える・白米を玄米や雑穀米に変える・おやつに果物や豆類を取り入れるなど、少しずつ食事を変えることで1日の摂取量を増やせます。急に大量に増やすと腹部膨満感が出ることもあるため、水分を十分に摂りながら少しずつ増やしていくことをおすすめします。
※ 栄養素データは文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)増補2023年」に基づきます。医療・栄養指導など専門的な用途には、必ず管理栄養士・医師にご確認ください。
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