日本食品標準成分表(八訂)増補2023年
この記事は食品の栄養素に関する一般的な情報提供を目的としており、医療上のアドバイスではありません。記事中の内容は特定の症状・疾患の診断・治療・予防を保証するものではなく、効果には個人差があります。体の不調・疾患の診断・薬や栄養補助食品の使用については、必ず医師・管理栄養士などの専門家にご相談ください。
痛風は高尿酸血症(血清尿酸値7.0mg/dL超)が続いて尿酸の結晶が関節に沈着し、激しい痛みの発作を引き起こす疾患です。日本では成人男性の約20%が高尿酸血症とされており、女性ホルモンが尿酸排泄を促すため男性に圧倒的に多いという特徴があります。尿酸はDNA・RNAの構成成分であるプリン体が分解されてできる代謝産物で、体内産生(約70%)と食事由来(約30%)で構成されます。食事改善だけで尿酸値を完全に正常化するのは難しいケースもありますが、プリン体の多い食品を把握して適切に制限することは薬物療法と並ぶ重要な生活習慣改善策です。本記事では日本痛風・尿酸核酸学会のガイドラインをもとに、プリン体の多い食品・少ない食品を整理し、尿酸値を下げる食事の実践的なポイントを解説します。
プリン体はATP(エネルギー通貨)やDNA・RNAの構成成分として全ての生物に含まれる物質です。体内でプリン体が分解される際にできる最終産物が尿酸で、通常は腎臓から尿として排泄されます。血清尿酸値が7.0mg/dLを超えると「高尿酸血症」と診断されます(日本痛風・尿酸核酸学会ガイドライン)。
尿酸は水溶性が低く、血中濃度が高い状態が続くと関節・腎臓・血管などに尿酸塩の結晶(針状)が沈着します。この結晶に対して免疫細胞が攻撃を加えることで激しい炎症が生じ、足の親指の付け根・足首・膝などに突然の激痛(痛風発作)が起こります。発作は24〜48時間でピークに達し数日〜2週間で自然に治まりますが、放置すると慢性関節障害や腎機能障害につながります。
尿酸値が上がる原因は「産生過剰型」「排泄低下型」「混合型」に分かれます。日本人の高尿酸血症の約60%は排泄低下型で、腎臓の尿酸排泄機能の低さが主因です。食事由来のプリン体は尿酸の約30%を占めるに過ぎませんが、アルコール制限・水分補給・プリン体制限を組み合わせることで確実に尿酸値の管理に貢献します。
日本痛風・尿酸核酸学会では1日のプリン体摂取量を400mg以下に抑えることを推奨しています。プリン体含有量は食品100gあたりで「極めて多い(300mg以上)」「多い(200〜300mg)」「少ない(50〜100mg)」「極めて少ない(50mg未満)」に分類されます。
プリン体が特に多いのは動物の内臓(レバー・腎臓・心臓)・魚の干物・酵母製品です。鶏レバーは100gあたり約312mg、牛レバーは約219mg、あじの干物は約245mg、かつお節は約493mgと非常に高い値です。少量なら問題ありませんが、一度に大量に食べることは避けてください。
一方、乳製品・卵・野菜・穀類・果物はプリン体が極めて少なく、高尿酸血症の方でも安心して食べられます。豆腐は大豆加工品の中でも100gあたり約22mgと低く、タンパク質源として活用できます。
【アルコールの制限】アルコールは尿酸値を上げる二重の働きをします。①プリン体を含む(特にビールは酵母由来プリン体が豊富)、②アルコール代謝産物(乳酸)が尿酸の腎排泄を抑制する——この2つの理由から、プリン体制限よりもアルコール制限が優先度の高い対策です。ウイスキー・焼酎などもアルコール量に応じて尿酸値を上げます。週2日以上の休肝日と1日ビール中瓶1本(500mL)以内が目標です。
【水分をしっかり摂る】尿量を増やすことで尿酸の排泄量が増え、血清尿酸値の低下につながります。1日2L以上(尿量1L以上が目安)を水・麦茶・緑茶などノンカロリー飲料で補給してください。果糖(フルクトース)を多く含む甘い清涼飲料水は尿酸産生を増やすため避けてください。コーヒーは尿酸値を下げる可能性を示す研究報告があります。
【肥満の解消とバランス食】肥満は尿酸産生を増やし腎排泄を下げます。1日のエネルギー摂取量を適正範囲(標準体重×25〜30kcal)に保つことで、体重減少とともに尿酸値が改善するケースが多くあります。ただし極端な絶食・断食は細胞崩壊によるプリン体大量放出で尿酸値が急上昇するため禁物です。乳製品(牛乳・ヨーグルト)は尿酸排泄促進効果が複数の研究で示されており積極的に摂ってください。
プリン体400mg/日の上限を守りながらタンパク質・カルシウムを適切に摂るための食事モデルを示します。朝食は低プリン体の乳製品(ヨーグルト・牛乳)と全粒粉パン・果物の組み合わせ、昼食は魚か鶏肉(レバーを避けた部位)と野菜たっぷりの定食スタイル、夕食は豆腐・卵・乳製品などを活用した副菜中心で肉・魚を過剰に増やさないよう意識します。
外食では焼き肉(内臓系)・ラーメン(チャーシュー+煮干しスープ)・居酒屋(ビール+白子・珍味)などプリン体とアルコールが重なりやすいシーンに注意してください。週に数回の外食機会では低プリン体メニューを選ぶ意識と、翌日の食事での調整を心がけると無理なく継続できます。
尿をアルカリ性に保つことも尿酸排泄を助けます。ほうれん草・小松菜・ブロッコリーなどのアルカリ性野菜・海藻・牛乳を毎日の食事に取り入れ、尿pHを6.0〜7.0の範囲に保つことが目標です(過度なアルカリ化は別の尿路結石リスクになるため注意)。
痛風・高尿酸血症の食事管理はプリン体制限だけでなく、アルコール制限・水分補給・適正体重の維持がセットです。レバー・干物・魚卵を控えつつ、乳製品・豆腐・野菜を積極的に摂る食事パターンが尿酸値の管理に有効です。薬物療法が必要な場合は医師に相談しながら、食生活の改善と並行して取り組んでください。
※ 栄養素データは文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)増補2023年」に基づきます。医療・栄養指導など専門的な用途には、必ず管理栄養士・医師にご確認ください。
筋トレ・体づくり
たんぱく質が多い食品ガイド — 筋トレ・健康維持に役立てる選び方
貧血・女性の健康
鉄分が多い食品ガイド — 貧血予防・改善に役立てる食事の工夫
骨の健康
カルシウムが多い食品ガイド — 骨粗鬆症予防・骨を強くする食事