日本食品標準成分表(八訂)増補2023年
この記事は食品の栄養素に関する一般的な情報提供を目的としており、医療上のアドバイスではありません。記事中の内容は特定の症状・疾患の診断・治療・予防を保証するものではなく、効果には個人差があります。体の不調・疾患の診断・薬や栄養補助食品の使用については、必ず医師・管理栄養士などの専門家にご相談ください。
「妊娠中って結局何を食べればいいの?」「これって食べちゃダメなやつだっけ?」——スーパーやコンビニで手に取った食品を前に、そんな迷いを感じたことがある方は多いはずです。この記事では、妊娠中に積極的に摂りたい食品と、量や食べ方に注意したい食品を、よくある疑問に答えるQ&A形式で整理しました。数値は日本食品標準成分表(八訂)増補2023年のデータをもとに、納豆1パック・卵1個など普段の一食分に換算して紹介します。栄養素ごとの詳しい含有量ランキングは、後半のリンクからあわせて確認できます。
妊娠中に不足しやすいのが葉酸・鉄・カルシウムです。この3つをまとめて補える身近な食品が、納豆・乳製品・鮭です。糸引き納豆は1パック(約45g)で葉酸58μg・鉄1.5mg・たんぱく質7.4gが摂れ、価格も手頃で毎日の食卓に取り入れやすい食品です。
普通牛乳はコップ1杯(200ml)でカルシウム約220mg、1日の推奨量650mgの3分の1をカバーできます。ヨーグルトも同程度のカルシウムに加え乳酸菌も摂れるため、朝食やおやつに取り入れやすい選択肢です。
しろさけ(生)は切り身1切れ(約80g)でビタミンDが25μg以上摂れ、妊婦の目安量8.5μgを大きく上回ります。ビタミンDはカルシウムの吸収を助けるため、乳製品と組み合わせて摂ると効率的です。これらはいずれも毎日食べて問題ない食品です。
妊娠中に積極的に摂りたい食品(一食分あたり)
「妊娠中はレバーNG」と聞いたことがある方も多いはずです。理由はビタミンA(レチノール)の過剰摂取リスクです。とり肝臓(生)は100gあたり14000μg、ぶた肝臓(生)は13000μgと非常に多く、妊娠初期の摂りすぎは胎児の先天異常との関連が報告されています。焼き鳥のレバー2〜3串やレバニラ炒めの主菜量を週に何度も食べる、という頻度は避けたほうが安全です。
コンビニやパンに添えるレバーペーストも同様にビタミンAが多く、少量のスプレッドとしてたまに使う程度なら過度に心配する必要はありませんが、主菜として毎日食べるものではありません。妊娠中のビタミンAは、レバー以外の食品(にんじん・かぼちゃなどのβ-カロテン)から摂るほうが安心です。β-カロテンは体内で必要な分だけビタミンAに変換されるため、過剰摂取の心配がありません。
サプリメントでビタミンAを追加摂取している場合は、レバーとの重複に特に注意し、妊娠がわかった時点で摂取量を医師に確認しましょう。
刺身や生ハム、加熱していないナチュラルチーズは、リステリア菌やトキソプラズマの感染リスクがあるため妊娠中は避け、加熱したものを選ぶのが基本です。かつおのたたきやなまり節のような、表面のみ加熱・燻製された加工品も念のため避けたほうが安心です。
魚については、水銀含有量が高いとされる本まぐろ(くろまぐろ)・めかじき・きんめだい・びんながまぐろは、厚生労働省が妊婦の摂取量に注意を呼びかけています。目安は1回約80gとして、まぐろ・めかじき・きんめだいは週1回まで、びんながまぐろは週2回までとされています。しろさけ・あじ・いわしなど普段使いの魚は目安の対象外で、量を気にせず食べられます。
カフェインは1日200mg程度(コーヒーカップ2杯前後)までが目安とされています。玉露や濃いエナジードリンクはカフェイン量が多いため注意し、麦茶・ルイボスティーなどノンカフェインの飲み物に置き換えるのもおすすめです。アルコールは量にかかわらず妊娠中は避けることが推奨されています。
コンビニで妊娠中に選びやすいのは、加熱済みのおにぎり・サラダチキン・ゆで卵・ヨーグルト・野菜スープです。おにぎり(鮭・昆布)+ゆで卵+野菜スープの組み合わせなら、葉酸・鉄・カルシウム・たんぱく質を一度にバランスよく補えます。
サラダチキンはたんぱく質を手軽に補えますが、生ハムやスモークサーモンが乗ったサラダは避け、加熱済みの具材を選びましょう。カットフルーツやカットサラダは水分・ビタミンCの補給にも便利です。
つわりで食欲がない時期は、無理に品目数を揃えようとせず、食べられるものを少量ずつ選ぶことを優先してください。症状が落ち着いてきたら、この記事の食品を少しずつ食卓に戻していくとよいでしょう。
妊娠中の食事は「あれもこれもダメ」と身構えすぎず、納豆・乳製品・鮭など身近な食品を軸にしつつ、レバーの摂りすぎ・生もの・大型魚の頻度にだけ気をつければ十分です。体調やつわりの状態に合わせて無理のない範囲で続け、不安な点は産婦人科・管理栄養士に相談してください。
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※ 栄養素データは文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)増補2023年」に基づきます。医療・栄養指導など専門的な用途には、必ず管理栄養士・医師にご確認ください。