日本食品標準成分表(八訂)増補2023年
この記事は食品の栄養素に関する一般的な情報提供を目的としており、医療上のアドバイスではありません。記事中の内容は特定の症状・疾患の診断・治療・予防を保証するものではなく、効果には個人差があります。体の不調・疾患の診断・薬や栄養補助食品の使用については、必ず医師・管理栄養士などの専門家にご相談ください。
更年期(一般的に45〜55歳頃)は卵巣機能の低下に伴いエストロゲン(女性ホルモン)が急激に減少する時期で、ホットフラッシュ(ほてり・のぼせ)・発汗・不眠・気分の変動・骨密度低下・血圧上昇などの症状が現れます。食事・運動・ストレス管理が症状の緩和や長期的な健康維持に役立つ可能性があります。体の変化が気になる場合は婦人科や内科への相談もあわせてご検討ください。特に大豆イソフラボン・カルシウム・ビタミンDの摂取が更年期の健康管理に注目されています。
大豆に含まれるイソフラボン(ゲニステイン・ダイゼイン)はエストロゲン受容体に結合する「植物性エストロゲン(フィトエストロゲン)」として機能し、エストロゲン様またはエストロゲン抑制様の弱い作用を持ちます。大豆食品の多い日本人女性は西洋人より更年期症状が軽い傾向があるという疫学データがあり、イソフラボンのホットフラッシュ軽減効果を示す研究があります。
ただし食品(豆腐・味噌・納豆・豆乳)からのイソフラボン摂取は一般的に安全とされていますが、サプリメントによる高用量補充については注意が必要です。特に乳がん・子宮内膜がんの既往・治療中の方はイソフラボンサプリメントの使用を医師に相談してください。食品レベルの摂取(大豆食品を毎日1〜2品)は問題ありません。
腸内細菌によってダイゼインから変換される「エクオール」はより強いエストロゲン様活性を持ち、ホットフラッシュ軽減効果との関連が研究されています。エクオールを産生できる腸内細菌を持つ方(日本人女性の約50%)は大豆食品の恩恵をより受けやすい可能性があります。発酵大豆食品(納豆・味噌)の継続摂取が腸内細菌環境の改善に寄与します。
骨密度・心臓の健康・精神的な安定を支える更年期に特に重要な食品をご紹介します。
更年期の健康管理に特に役立つ栄養素(イソフラボン・カルシウム・ビタミンD・マグネシウム)を含む食品
更年期以降のエストロゲン低下により基礎代謝が低下し腹部への脂肪蓄積が起こりやすくなります(更年期太り)。同じ食事量でも太りやすくなるため、カロリーの見直し・高たんぱく食・筋力トレーニングの組み合わせが有効です。精製炭水化物・甘い飲料を減らし、野菜・魚・豆腐・鶏むね肉中心の食事パターンへの転換が推奨されます。
エストロゲン低下後は骨密度が急速に低下し(更年期後10年間で20〜30%低下することも)、骨粗鬆症リスクが高まります。カルシウム(乳製品・小松菜・豆腐)・ビタミンD(魚・日光浴)・ビタミンK(納豆・緑葉野菜)・たんぱく質を十分に摂ることと、ウォーキング・筋力トレーニングの組み合わせが骨粗鬆症予防に最も効果的です。
更年期以降は心臓病リスクも上昇します。青魚(EPA・DHA)・オリーブオイル・ナッツ・野菜・果物を中心とした地中海食パターンと心臓病リスク低下との関連を示す研究があります。ただし個人の体質・既往症によって適切な食事内容は異なるため、心臓病リスクが高い方は医師・管理栄養士への相談をおすすめします。塩分を減らしカリウム(野菜・果物・豆類)を増やすことで血圧管理にも貢献できます。
更年期の食事は大豆食品を毎日取り入れ・魚を週2〜3回食べ・カルシウム豊富な乳製品・緑葉野菜を積極的に摂るという方向性が骨・心臓・ホルモンバランスの複合的な健康維持に役立ちます。症状が強い場合はホルモン補充療法(HRT)を含めた医療的な対処も選択肢であり、婦人科医への相談をおすすめします。
※ 栄養素データは文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)増補2023年」に基づきます。医療・栄養指導など専門的な用途には、必ず管理栄養士・医師にご確認ください。
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