日本食品標準成分表(八訂)増補2023年
この記事は食品の栄養素に関する一般的な情報提供を目的としており、医療上のアドバイスではありません。記事中の内容は特定の症状・疾患の診断・治療・予防を保証するものではなく、効果には個人差があります。体の不調・疾患の診断・薬や栄養補助食品の使用については、必ず医師・管理栄養士などの専門家にご相談ください。
「親の食が細くなった」「たんぱく質は1日何gとればいい?」——高齢期は消化吸収の低下や食欲減退で栄養不足に陥りやすく、筋肉量が落ちるサルコペニアや骨がもろくなる骨粗鬆症、要介護の手前の状態であるフレイルにつながります。日本食品標準成分表(八訂)増補2023年のデータでは、高齢者に推奨されるたんぱく質量は体重1kgあたり1.0〜1.2g、1食では25〜30gが目安です。噛みやすく飲み込みやすい食品を中心に、具体的な数値で解説します。
高齢者では「同化抵抗性」と呼ばれる現象が進み、若い人と同じ量のたんぱく質を摂っても筋肉の合成効率が下がります。そのため一般成人の推奨量(男性65g・女性50g)より多め、体重1kgあたり1.0〜1.2g以上を目安にするのが一般的です。体重50kgなら50〜60g、60kgなら60〜72gが目標になります。
量だけでなく「1食あたりの配分」も重要です。1回の食事で筋肉合成に使われるたんぱく質には上限があるため、1食25〜30g程度を3食に分散させる方が、夕食だけにまとめるより効率的とされています。朝食を抜きがちな高齢者は特に朝のたんぱく質不足に注意が必要です。
カルシウムは1日700〜800mg、ビタミンDは8.5μgが食事摂取基準の目安量です。たんぱく質・カルシウム・ビタミンDの3つを軸に食品を選ぶと、フレイル予防の土台ができます。
フレイル予防では「たんぱく質量」に加えて「噛みやすさ・飲み込みやすさ」も食品選びの重要な基準になります。木綿豆腐は100gあたりたんぱく質7.0g・カルシウム93mgで、軟らかく調理不要のまま食べられる代表格です。
鶏卵はゆでても100gあたりたんぱく質12.5g・ビタミンD2.5μgとほぼ変わらず、Mサイズ1個(可食部約50g)で約6.3gのたんぱく質が摂れます。しろさけ(生)は100gあたりたんぱく質22.3g・ビタミンD32.0μgと、魚の中でもビタミンDが際立って多い食品です。
牛乳・ヨーグルトはたんぱく質とカルシウムを同時に摂れるうえ、飲み込みやすく食欲がない日にも取り入れやすい食品です。糸引き納豆はたんぱく質16.5gに加え、骨へのカルシウム定着を助けるビタミンK(870μg)を含みます。
高齢者のフレイル予防に適した食品(可食部100gあたり、日本食品標準成分表八訂より)
骨粗鬆症の予防にはカルシウムとビタミンDをセットで摂ることが重要です。カルシウムだけを摂っても、ビタミンDが不足していると腸からの吸収効率が下がります。しらす干し(半乾燥品)は100gあたりカルシウム520mg・ビタミンD61.0μgと、両方を同時に摂れる貴重な食品です。
屋外で日光を浴びると皮膚でもビタミンDが作られますが、高齢者は外出頻度が下がりやすく、体内での合成能力も落ちるため、食品からの摂取がより重要になります。鮭・しらす干しなどの魚介類を週に数回取り入れることが実践的な対策です。
乳製品はカルシウムの吸収率が野菜や小魚より高いことが知られています。牛乳やヨーグルトを毎日の食事に1品加えるだけで、骨の健康を支える土台になります。
食欲低下には薬の副作用・口腔機能の低下・孤食など複数の原因が関わります。少量頻回(1日4〜5回)に分ける、豆腐や卵など軟らかい食品を優先する、だしのうまみや酸味で食欲を刺激するといった工夫が有効です。
歯の喪失や咀嚼機能の低下がある場合は、木綿豆腐・茶碗蒸し・ゆで卵・煮魚など噛む力が弱くても食べやすい高たんぱく食品を軸にすると、栄養量を落とさずに済みます。
食事だけで25〜30g/食を確保しにくい場合は、プロテイン飲料や栄養補助ゼリーの活用も選択肢です。ただし腎機能が低下している方はたんぱく質の摂取制限が必要な場合もあるため、持病がある場合は医師・管理栄養士に相談してください。
高齢期のたんぱく質は体重1kgあたり1.0〜1.2g・1食25〜30gが目安です。豆腐・卵・鮭・乳製品・納豆など噛みやすい食品を軸に、カルシウムとビタミンDを合わせて摂ることがフレイル予防の近道になります。
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※ 栄養素データは文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)増補2023年」に基づきます。医療・栄養指導など専門的な用途には、必ず管理栄養士・医師にご確認ください。