日本食品標準成分表(八訂)増補2023年
この記事は食品の栄養素に関する一般的な情報提供を目的としており、医療上のアドバイスではありません。記事中の内容は特定の症状・疾患の診断・治療・予防を保証するものではなく、効果には個人差があります。体の不調・疾患の診断・薬や栄養補助食品の使用については、必ず医師・管理栄養士などの専門家にご相談ください。
ビタミンB1(チアミン)は水溶性ビタミンの一種で、炭水化物からエネルギーを産生する際の酵素反応に不可欠です。糖質を多く摂る食生活や、激しい運動・スポーツ・ストレスが多い生活ではB1の消費が増加します。また神経の機能維持にも関わるため、不足すると疲れやすさ・神経障害・心臓機能低下(脚気)が起こります。日本人の食事摂取基準2020年版では成人男性1.4mg、女性1.1mgの推奨量が設定されています。
ビタミンB1の軽度不足は「慢性的な疲れ」「だるさ」「集中力の低下」として現れます。白米・白パン・麺類を主食とする食生活で魚・肉・豆類が少ない場合に不足しやすくなります。また過度な飲酒はB1の吸収を妨げ腸管からの喪失を増やすため、アルコールを多く飲む方はB1不足リスクが高いです。
重度のB1欠乏は「脚気(かっけ)」を引き起こします。末梢神経障害(手足のしびれ・筋力低下)と心臓への影響(動悸・息切れ)が特徴です。白米が主食だった時代の日本では国民病でしたが、現代では重篤な脚気は稀です。ただし精製炭水化物依存・アルコール依存・食事の偏りがある方ではリスクが残っています。
アルコール依存症の方では「ウェルニッケ脳症(重篤なB1欠乏による神経障害)」のリスクがあります。意識障害・眼球運動障害・失調歩行が現れた場合は医療機関への緊急受診が必要です。
ビタミンB1は豚肉・豆類・全粒穀物・ナッツ類に豊富に含まれています。
可食部100gあたりのビタミンB1含有量が多い代表的な食品
ビタミンB1の大きな特性として、にんにく・ねぎ・たまねぎ・ニラなどに含まれる「アリシン(硫化アリル)」と結合して「アリチアミン」という脂溶性の形に変わります。通常のB1は水溶性のため腸管からの吸収効率が一定の上限がありますが、アリチアミンは吸収率と持続性が大幅に向上します。
豚肉と玉ねぎの炒め物・豚肉とにんにくの組み合わせは、日本料理・各国料理に広く見られる理にかなった組み合わせです。豚肉のしょうが焼き(しょうがにも微量のアリシン類似成分が含まれる)・豚汁(豚肉+ねぎ)なども効率よくB1を摂れる料理です。
B1は熱・アルカリに弱く水に溶けやすいため、茹でる・水さらしで損失します。炒める・電子レンジ加熱・スープ・煮汁ごと食べる調理法がB1の保存率を高めます。
ビタミンB1は豚肉・大豆・全粒穀物を毎日の食事に取り入れることで十分に補えます。豚肉とにんにく・玉ねぎを組み合わせた料理は吸収率を高める最善の方法です。慢性的な疲れやすさを感じている方は、白米・白パン中心の食事からビタミンB群を意識した食事への転換を試みてください。
※ 栄養素データは文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)増補2023年」に基づきます。医療・栄養指導など専門的な用途には、必ず管理栄養士・医師にご確認ください。
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