日本食品標準成分表(八訂)増補2023年
この記事は食品の栄養素に関する一般的な情報提供を目的としており、医療上のアドバイスではありません。記事中の内容は特定の症状・疾患の診断・治療・予防を保証するものではなく、効果には個人差があります。体の不調・疾患の診断・薬や栄養補助食品の使用については、必ず医師・管理栄養士などの専門家にご相談ください。
ビタミンAは脂溶性ビタミンの一種で、レチノール(動物性食品由来)とプロビタミンA(β-カロテンなど、植物性食品由来で体内でビタミンAに変換)の2種類があります。視覚・皮膚・粘膜の維持・免疫機能・細胞の成長と分化に不可欠で、不足すると夜盲症(暗所での視力低下)・皮膚や粘膜の乾燥・感染症への抵抗力低下などが起こります。日本人の食事摂取基準2020年版では成人男性850μgRAE、女性650μgRAEの推奨量が設定されています。
ビタミンAは網膜の光受容体(ロドプシン)の材料となり、特に暗所での視力維持に必須です。不足すると薄暗い場所での視力低下(夜盲症)が起こり、重度の欠乏は失明を引き起こすこともあります。発展途上国では小児のビタミンA欠乏による失明が大きな公衆衛生問題となっています。
皮膚・粘膜の細胞分化・維持にもビタミンAは関わります。ビタミンAが不足すると皮膚の乾燥・角化・粘膜の弱体化が起こり、消化管・呼吸器・泌尿器の感染症リスクが高まります。皮膚科では高濃度レチノイン酸(ビタミンAの誘導体)がにきび・老化防止に使用されることがあります。
免疫機能においてビタミンAは樹状細胞・T細胞・B細胞の分化と活性化に関わります。特に粘膜免疫(腸・気道の免疫バリア)の維持に重要で、欠乏すると感染症への抵抗力が低下します。
ビタミンAはレバーに最も多く、次いでにんじん・ほうれん草などの緑黄色野菜に前駆体(β-カロテン)として豊富です。
ビタミンA活性当量(RAE)または β-カロテン含有量が多い代表的な食品
植物性食品のβ-カロテンはビタミンAへの変換効率が約6分の1と低く(RAE換算)、また油と一緒に摂ることで吸収率が2〜4倍に高まります。にんじんのサラダにドレッシングをかける・かぼちゃを油で炒めるなど、脂質と組み合わせた調理が吸収効率を上げます。
一方でレバーや高用量ビタミンAサプリメントからの過剰摂取には注意が必要です。ビタミンAは脂溶性のため体内(特に肝臓)に蓄積しやすく、急性または慢性の過剰摂取は頭痛・吐き気・皮膚の荒れ・骨の脆弱化を引き起こします。
妊婦は特に注意が必要です。妊娠初期の過剰なレチノール摂取は胎児奇形リスクと関連することが報告されており、鶏・豚・牛レバーの頻繁な大量摂取は避けることが推奨されています。植物性のβ-カロテンは必要量以上は変換が抑制されるため、過剰の心配がなく安全な摂取源です。
ビタミンAは毎日の食事ににんじん・ほうれん草・かぼちゃなどの緑黄色野菜を油と一緒に取り入れることで安全・効率よく補えます。レバーは栄養価が高い食品ですが過剰摂取のリスクがあるため週1〜2回程度にとどめ、妊婦は特に量に注意してください。
※ 栄養素データは文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)増補2023年」に基づきます。医療・栄養指導など専門的な用途には、必ず管理栄養士・医師にご確認ください。
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