日本食品標準成分表(八訂)増補2023年
この記事は食品の栄養素に関する一般的な情報提供を目的としており、医療上のアドバイスではありません。記事中の内容は特定の症状・疾患の診断・治療・予防を保証するものではなく、効果には個人差があります。体の不調・疾患の診断・薬や栄養補助食品の使用については、必ず医師・管理栄養士などの専門家にご相談ください。
活性酸素(フリーラジカル)は通常の代謝過程でも産生されますが、紫外線・喫煙・ストレス・過度な運動・汚染物質によって過剰に生成されると、細胞のDNA・たんぱく質・脂質を酸化させて損傷を引き起こします。この「酸化ストレス」は老化・がん・動脈硬化・神経変性疾患の根本的なメカニズムの一つです。抗酸化物質(ポリフェノール・カロテノイド・ビタミンC・ビタミンE・セレン)はこの活性酸素を無害化し、細胞を守ります。
ポリフェノールは植物が紫外線・害虫・菌から身を守るために作る化合物の総称で、8,000種類以上が知られています。フラボノイド(フラボン・アントシアニン・カテキン・イソフラボン)・フェノール酸(クロロゲン酸・エラグ酸)・スチルベン(レスベラトロール)などが含まれます。疫学研究でポリフェノール摂取量と生活習慣病リスクとの関連が報告されていますが、食事全体のパターンが複合的に影響するため、特定食品単体の効果として解釈するのは適切ではありません。
カロテノイドは植物・藻類が合成する赤・橙・黄色の色素成分です。β-カロテン(にんじん・かぼちゃ)・リコピン(トマト)・ルテイン・ゼアキサンチン(ほうれん草・ケール)・アスタキサンチン(鮭・えび)などが代表的です。強力な抗酸化作用を持ち、目・皮膚・心臓の健康に関与することが研究されています。
ビタミンE(トコフェロール)は脂溶性の抗酸化ビタミンで、細胞膜の脂質過酸化を防ぎます。種実類・植物油・緑葉野菜に多く含まれます。セレンはグルタチオンペルオキシダーゼという抗酸化酵素の構成成分で、魚・肉・ナッツに含まれます。
ポリフェノール・カロテノイドが特に豊富で、日常の食事に取り入れやすい食品をご紹介します。
抗酸化成分(ポリフェノール・カロテノイド・ビタミンE)が豊富な代表的な食品
抗酸化物質は種類によって作用する場所(水溶性か脂溶性か・細胞内か細胞外か)や標的とする活性酸素の種類が異なるため、特定の食品だけでなく多様な食品から摂ることが最も効果的です。「食卓をカラフルにする」という指針は、多様な抗酸化物質を自然に摂取するための実践的な目安です。
食品の抗酸化物質はサプリメントで単体を高用量補充するよりも、食品の形で複数の抗酸化物質を組み合わせて摂る方が健康効果が高いことが示されています。β-カロテンの高用量サプリメントが喫煙者の肺がんリスクを逆に高めたという研究(CARET試験)はこの「フードシナジー」の重要性を示す例です。
抗酸化物質を最大限に活かすには、保存・調理法も重要です。野菜は切り口から酸化するため、食べる直前に切る・調理直前に冷蔵庫から出すなどの工夫が有効です。トマトのリコピンは加熱・油と組み合わせることで吸収率が大幅に高まります(トマトソースや炒めトマトが効果的)。
毎日の食事でベリー類・緑葉野菜・トマト・緑茶・ナッツ・青魚を意識して取り入れることで、抗酸化物質を多様に補給できます。「1日5色の野菜・果物を食べる」という目標が抗酸化食品を摂るための実践的な指標になります。
※ 栄養素データは文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)増補2023年」に基づきます。医療・栄養指導など専門的な用途には、必ず管理栄養士・医師にご確認ください。
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