日本食品標準成分表(八訂)増補2023年
この記事は食品の栄養素に関する一般的な情報提供を目的としており、医療上のアドバイスではありません。記事中の内容は特定の症状・疾患の診断・治療・予防を保証するものではなく、効果には個人差があります。体の不調・疾患の診断・薬や栄養補助食品の使用については、必ず医師・管理栄養士などの専門家にご相談ください。
セレンは体内で作られる抗酸化酵素の材料になる必須ミネラルで、細胞を酸化ストレスから守るほか、甲状腺ホルモンの代謝にも関わっています。摂取量が不足しやすい栄養素ではありませんが、逆にサプリメントなどで摂りすぎると脱毛や爪の変形といった過剰症を起こすことが知られており、上限量が明確に定められている数少ないミネラルのひとつです。この記事では日本食品標準成分表(八訂)増補2023年の実測データをもとに、セレンが多い食品をランキング形式で紹介し、1日の推奨量・耐容上限量とあわせて摂り方の注意点を解説します。数値はすべて可食部100gあたりです。
セレンは「グルタチオンペルオキシダーゼ」という抗酸化酵素の構成成分で、体内で発生する過酸化物を分解し、細胞膜やDNAを酸化ダメージから守る役割を担います。ビタミンEと協力して働くため、抗酸化ビタミンと合わせて摂取すると効率が良いとされています。
もうひとつの重要な働きが甲状腺ホルモンの代謝です。甲状腺ホルモンを活性型に変換する酵素にもセレンが使われており、ヨウ素と並んで甲状腺機能を支える必須ミネラルとして知られています。
食事摂取基準(2020年版)による1日の推奨量は成人男性30μg、成人女性25μgです。魚介類や肉類を普通に食べていれば不足することは少ない一方、極端な菜食や偏った食事では不足するケースがあるため注意が必要です。
セレン含有量が突出して高いのは乾物・加工品です。かつお節は100gあたり320μgと成人の推奨量の約10倍を含み、からし粉も290μgと非常に高い数値を示します。ただしどちらも一度に大量に食べる食品ではなく、だし・薬味として少量ずつ使うのが一般的です。
内臓系ではぶたのじん臓(腎臓)が240μg、うしのじん臓が210μgと高く、いわゆる「もつ」に豊富に含まれる栄養素であることが分かります。魚類ではたらこが130μg、くろまぐろ赤身が110μgと、日常的に食べる食品でも十分な量を摂取できます。
手軽に取り入れやすい食品では、鶏卵の卵黄が100gあたり47μgです。卵1個(可食部約50g)に換算すると卵黄由来で約12μg程度となり、朝食に卵を1個加えるだけでも推奨量の半分近くをカバーできる計算になります。
セレンが多い食品(可食部100gあたり、日本食品標準成分表八訂より)
セレンは特定の食品にサプリメント的に頼らなくても、魚介類・肉類・卵をバランス良く食べていれば推奨量に達しやすい栄養素です。特に和食は魚を中心とした食文化のため、日本人の食事摂取基準の調査でも不足はまれとされています。
植物性食品では大豆・玄米・小麦にも含まれますが、含有量は土壌のセレン濃度によって大きく変動します。ヴィーガン・ベジタリアンなど動物性食品を避ける食生活では、セレンの摂取源が限られやすい点に留意しましょう。
セレンは耐容上限量が成人で450μg(食事摂取基準2020年版)と定められており、通常の食事だけで超えることはまれですが、サプリメントの重複摂取には注意が必要です。過剰摂取(セレン中毒)は脱毛、爪の変形・脆弱化、末梢神経障害、消化器症状などを引き起こすことが報告されています。
かつお節やからし粉のように含有量が突出して高い食品でも、実際に食べる量はごく少量(だし1杯分、薬味小さじ1杯など)のため、通常の食習慣で心配する必要はありません。サプリメントで摂取する場合のみ、表示量と食事からの摂取量の合計に気を配りましょう。
セレンはかつお節・内臓肉・魚介類・卵に多く含まれる抗酸化ミネラルで、通常の食事で不足することはまれです。含有量ランキングを参考にしつつ、サプリメントでの重複摂取による過剰症にだけ注意しましょう。
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※ 栄養素データは文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)増補2023年」に基づきます。医療・栄養指導など専門的な用途には、必ず管理栄養士・医師にご確認ください。
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